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missing☆ring【完】

第4章 3年前。

「ねぇ、陸」


「ん?」


「陸って好きな人居ないの?」


「好きな、人?」



陸は驚いたように私を見つめる。



そして花火が終わり周りの人達が駅へと向かい歩き出した。



私と陸だけが向かい合い動かずにいた。
動かずにじゃなく、動けなかった。
陸に聞いた後に失敗したと思った。



「裕実」



伸びて来た陸の手が私の頭にポンと触れ優しく笑うだけで、何も言わなかった。



まだ聞く距離に居ない。
もっと離れないと陸は言ってくれない。



私と陸は似てる。
だから分かる。
陸は優しい。
だから分かる。



私を一人にしないように。
陸と出逢う前の孤独に戻さないように……。


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