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missing☆ring【完】

第5章 1年前。

境内にやっとたどり着き陸と並んでお賽銭を投げ入れた。




「あっ、」


「ん?どうした?」


「そのお財布……」




陸が手にしていたお財布。



「あの時のまだ使ってたんだ」



それは昔、陸と一緒に選んだ赤茶色の財布だった。
その綺麗な赤茶色だった財布は陸の手に良く馴染み、くすんでいた。




「やっと馴染んできたよ」



陸は愛しそうに財布を見つめて「裕実が選んでくれたのだから、大切に使ってるよ」と私を見つめた。



そんなことを言うから、
そんな瞳で見つめるから、勘違いしそうになちゃうよ。




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