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missing☆ring【完】

第5章 1年前。

「ありがとう」と陸を見つめると、優しく笑う。
あの頃と変わらない笑顔。



「じゃあ、帰るか」


「……そうだね」




一気に気分が沈む。
陸はまた東京に戻ってしまう。
卒業したとしても、すぐに地元に戻っては来ない。




次はいつ会える?
もう会えない?



それなら逸そこの想いを陸にぶつけたい……ーーーー




車に戻り、エンジンをかけまた黒ぶちのメガネをかける。



「寒いな」



陸が暖房を入れた。
曇っていたフロントガラスが、少しずつクリアになって行く。



「陸?」



出来るだけ明るく



「出来た?」



私は右手の指先でmissing ringを作って見せた。



「……覚えてたんだ」


「……覚えてるよ」




覚えてるよ。
全部……ーーーー

全部、陸との大切な思い出だから。



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