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missing☆ring【完】

第5章 1年前。

陸も同じようにmissing ringを作った。
そして、その欠けている所を私の指先に付けて、





「こうなれたら良いって言ったことは覚えてない?」




陸の瞳が切なく揺れる。
だけどその瞳は真っ直ぐ私に向けられている。



「まだ……まだ、裕実は辛い?」



陸の唇から切なく紡ぐ。



だけど、私は陸に何も言えない。
この気持ちを何て言葉にしてよいか分からなかったから。




「……ごめん」



陸にそう謝らせたのは私だ。
陸が私の指先から手を離す。
その手はハンドルを握り、真っ直ぐ向けられていた瞳は下を向く。



「違うの……」



私は絞り出すように答え俯いた。



「陸は何も悪くないから、だから……謝らないでよ」



また涙がポロポロと零れる。



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