テキストサイズ

missing☆ring【完】

第6章 最期の時。

「会ってあげなよ。陸は裕実に会いたいと思ってると思うよ」




私は瞳いっぱいに涙を溜めて綾子を見つめた。



綾子は泣き腫らした瞳を優しく細め「会って来なよ」とまた小さく呟く。



ゆっくりと、
でも確実に陸に近付いて行く。



ホールの中にはもう人気が少ない。
祭壇の元の棺の横には陸の両親とお姉さん。




私は頭を下げた。



「陸のお友達?」


「……はい。陸に……陸君に会えますか?」




私は震える声で尋ねた。



「勿論よ」



両目を腫らしたおばさんは棺に「陸、お友達が来たわよ」と話しかける。
それから私に視線を向けてどうぞと言ってくれた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ