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missing☆ring【完】

第6章 最期の時。

ゆっくりと陸に近付いて陸の顔を見つめる。



久しぶりに見た陸は痩せてしまっていた。
だけど眠っているように見える。



陸の周りには陸の好きだと言っていたひまわりの花が。
それはまるで、陸を恋しく思う私のように、陸の周りに咲いているようだった。




『陸』と呼べば何時ものように、薄い唇を開いて『裕実』と呼んでくれそうで、
切れ長の瞳を優しく細め『裕実』と呼んでくれそうで、




「陸」と小さく呼ぶけどやっぱり返事はない。
薄い唇を開いて『裕実』と呼んでくれない。
切れ長の瞳を優しく細め『裕実』と呼ぶことはない。



「陸」また名前を呼んで陸の冷たい頬に触れると、陸の寝ているような顔に、私の涙が零れる落ちる。



あぁ……
これは現実なんだと……
陸はもう私を呼んでくれないんだと……



悲しみの中、どこか冷静に陸の死を受け止めている自分がいた。



受け止めるだけで精一杯で、それ以上は何も出来ない。






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