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暗闇で恋しましょう

第14章 月明かりに照らされて

体を横にし、握られてるのとは反対の手で、その頬を撫ぜようとし、止められる。



「……ううん。泣いてないよ。ちょっと眠いだけ」



にこりと笑うけど、やっぱりその笑顔、いつもの笑顔じゃない。


何か、もっと気の利いた言葉をかけるべきなんだろうけど、頭が回らなくて上手く言葉が出てこない。



「………水上さん……」

「ん………?」

「……ありがと…」



でも、これだけは音として出さなきゃ。


私のわがままを聞いてくれたこととか、あとはここにずっと



こつん………



気付けば、片方の手の暖かさは消えて、水上さんに伸ばした手に集中していた。


水上さんは私の手を大事そうに両手で包み、その手におでこを当てていた。


表情が、また、読み取れなくなった。



「水上さ」

「何が?」

「え………?」



私の手を包む手。


微かに震えていることに気付く。


発せられたその言葉も、どこか儚い。



水上さん……?

泣いてる……?



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