テキストサイズ

暗闇で恋しましょう

第14章 月明かりに照らされて

確認……するのは、野暮だろうか。


まあ、何にせよ確認する術を私は何1つ持ち合わせていない。


手は痛いほど握られているから、動かせない。


すなわち、頬が涙で濡れているか確認するために頬を撫ぜれない。


水上さんは下を向いている。


すなわち、表情が見えない。


でも、雫が落ちれば確認くらいはできるのだろうか。


この暗闇で、月明かりに照らされ、きらきらとしていればそれが……


だとしたら、泣いていないんだけど、そんな不確定なもの信じられない。



というか、私寝てるし、ちょっと動けば水上さんの顔、見えるのでは……?



考えるより行動すべし。


だけど、次いでの水上さんの言葉にそれは阻まれる。



「何が、ありがとう、なの………俺は、何もしてない………何も……できなかった…っ………」



…………どうして?

どうして、そんな、悲しいこと、言うの?



不意に上げられた水上さんの顔。


涙は流れていない。


のに、まるで泣いてるみたいだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ