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いつか手をつないで歩こう

第7章 二人の間で


そっか。そうだよね。


私に彼氏ができればいいんだ。
そしたら浩輔は自由になれる。


彼氏なんて、無理に付き合っても相手に失礼だろう。
でも、浩輔のいらだちは私が原因なのだ。


「う…っ」

私は両手で顔を覆った。せき止められない涙を隠すために。
もう、どうしていいかわからなくて。


「ちょっ、泣くなって」

「…グスッ…」


浩輔は立ち尽くす私の前にきて、うろたえた。

「姉貴ごめん、言い過ぎたよ」

浩輔が私の両肩を掴んだ瞬間…。

バッ…

自分でも信じられないが、私は両腕を浩輔の背中に回していた。


「っ」

驚いた顔の浩輔を見上げた。
涙でかすんでよく見えないけれど。

「私…ずっと浩輔の事考えていたよ。
食べてる時も、歩いてる時も。
なのに、なのに…こんなのつらい」

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