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Fallen Angle

第3章 car

ファミレスに着き、後部座席のドアを開けると、結はぬいぐるみを手放して眠っていた。
「結?」
揺すっても起きない姿に
「どうする?このまま帰る?」
「眠てるしね…」
扉を閉めようとすると結が大きなあくびをもらし、瞼を擦って目を覚ました。
「結たん、ごはんだよ」
駿の声に反応して結が起き上がると満面の笑みを向けて
「しゅん、だっこ」
手を伸ばすと駿に抱き上げられる。
ファミレスのドアを開け、案内されると奥のテーブル席を選んで座った。
結はメニューを広げてキャラクターの皿を指差すと目を輝かせ
「ゆいこれがいい」
「蓮はどれにする?」
駿の言葉に蓮は
「食欲ないから…」
タバコを咥えて火をつけた。
吸い終わると注文した皿が並び、テーブルを挟んでかぶりつく結とは対照的に蓮は少し箸をつけるだけで食事を終わらせた。
蓮がグラスを手に立ち上がるとドリンクコーナーに向かい、ジュースを注いでいると男が近づいてきた。
目線だけずらして男を見ると、見覚えのある顔に平静を装いその場から離れた。
テーブルに戻ると小声で
「客がいた…」
衝立のガラス越しに駿が男を見ると
「バレてないんでしょ?だったら堂々としてたらいいのに」
「駿だって1年前までパブで働いてたんだから分かるでしょ?」
「そうだけど…」
伝票を掴んで立ち上がると
「帰るよ」
「まだ結たん食べ終わってないよ?」
「いいから」
先に行く姿に駿は小さなため息を零し、握っているフォークを結の指から剥がすようにテーブルに置いて抱き上げた。
レジに並ぶと結が棚のおもちゃを指差して笑顔を向けている。
「結、ぬいぐるみ買ったばかりじゃない」
冷たく突き放す言葉に今にも泣き出しそうに顔を歪める。
周りの気配を感じて
「…わかった。ひとつだけだよ?これでいいの?」
おもちゃを渡すと小さく頷いた。
支払いを終えると鏡面のようになった窓硝子越しに男の様子をうかがい、逃げるように店を出た。
車を走らせるとリアシートからまた寝息が聞こえてくる。
「結たん連れて帰るから行っておいでよ」
マンションの前に車を停めると駿は後部座席のドアを開けて起こさないように結を抱えた。
「いってらっしゃい」
小さく唇を重ねると蓮は運転席にアクセルを踏み込み、車を走らせた。  
ライトアップされたビル近くの駐車場に車を停めて歩いていく。
壁面には『Hair&Nail』

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