Love Song ~キミに捧げる歌~
第2章 彼女の誕生日
「フフッ、別にいいけど。 …私の将来の夢はね、アーティスト。 …あ、歌手ね。」
「そうなんだ~。」
「うん。 …私の大好きな歌を歌って、誰かを幸せにできればな~、なんて思ってたの。」
「…え? 過去形?」
「当たり前でしょ? もう、叶う訳ないんだから。」
「歌手になる事はできなかったけど、歌で誰かを幸せにする事は出来たんじゃない?」
「えっ?」
「だって、恋歌ちゃんの病室には、いっぱい人が集まるじゃん。 その時に、恋歌ちゃんの歌で笑顔になっている子たちは、いっぱいいるんじゃないかな?」
「あ、そっか…。 こんな私でも、誰かを笑顔にする事は出来たんだ…。」
「そうだよ! …俺も、その中の1人だけどね。」
「え、そうなの?」
「うん。」
「ふ~ん。 …なんか、嬉しい。」
「そっか。」
「うん。」
「…ねえ、過去形って事は、今の夢はあるの?」
「うん。 勿論あるよ。」
「何?」
「知りたい?」
「うん。」
「今の私の夢は…。 「好きな人の誕生日まで生きる事」かな。」
「…ふ~ん。」
「好きな人」と聞いた時、胸がざわついた。
…そっか。 そりゃいるよな。
もう、年頃なんだし…。
「私の好きな人、誰だと思う?」
「そ…、そんなの分かんないよ。」