Love Song ~キミに捧げる歌~
第3章 哀しき別れ
俺は、看護師さんとの電話を切ると、急いで着替え、出ようとした。
すると…。
「剛典? どうしたの?」
「あっ、母さん…。」
「そんなに慌てて…。 …何かあったの?」
「あ…、実はね…。」
俺は、恋歌ちゃんの事を話した。
そして、彼女の許に行きたい、という事も話した。
すると、「分かった」とだけ言って、車を出してくれた。
「母さん…。」
「ん? 何?」
「その…、有難う。」
「フフッ、どういたしまして。」
そうしている内に、すぐに病院に着いた。
「早く行ってあげな。」
「うん!」
俺は、やっとちゃんと動くようになった足をフルに使い、彼女の病室へと急いだ。
彼女の病室の前には、あの看護師さんが居た。
「看護師さん…?」
「あっ、剛典君。 …中で恋歌ちゃん待ってるよ。」
「はい…。」
俺は、呼吸を整えると、ゆっくりと彼女の部屋に入って行った。
ドアを開けると、たくさんのチューブにつながれ、ベッドに横たわっている恋歌ちゃんがいた。
「恋歌ちゃん…?」
俺が彼女の名前を呼ぶと、ゆっくりとこっちを向いた。
「あっ…、剛典君…?」
「そうだよ。 俺だよ。」
「来て…、くれたんだね…。」
彼女の声は、いつもよりも小さかった。
「来ない訳…、ないでしょ?」
「そっか…。」
「うん。」
「…先生?」
「何ですか?」
「お願いがあるんだけど…。」
彼女は、先生と何か話していた。
「…少しの間でいいから、剛典君と2人にしてくれない?」
「えっ…! でも…。」
「お願い。 私の、最後のお願い。」
彼女の懇願する様な顔を見て、凄く戸惑っていたお医者さんも、最終的には笑顔で「分かりました。」と言って、病室から出て行った。