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Love Song ~キミに捧げる歌~

第3章 哀しき別れ


理恵ちゃんが出ていくと、途端に病室は静寂に包まれた。

私は、その間中ずっと祈っていた。
…神様、お願い。 
せめて…、死ぬ前にもう一度だけ…、剛典君に会わせて…。
それだけで…、良いから…。

…そう願っていると、理恵ちゃんが戻ってきた。 …先生も一緒に。

「恋歌ちゃん、剛典君、今から来てくれるって。」
そう、理恵ちゃんが私に耳打ちした。
「本当?」
「うん。」
「良かった…。」
「恋歌ちゃん。」
「先生…。」

…この後、先生と少しだけ話した。
私は、起きているのが辛くなり始めていた…。

―その時、病室のドアが開いた。

「恋歌…ちゃん…?」
私の姿を見て驚いていたのは…、紛れもなく、あの人だった。

「あ…、剛典君…?」
「そうだよ。 俺だよ。」
「来てくれたんだ…ね。」
声を出そうとしても、いつもの様には出なかった。

「来ない訳…、ないでしょ?」
「そっか…。」
私は、いつもの様に声が出ない事が分かった上で、出来るだけ元気に振舞おうと決めた。

「剛典君。」
「ん? 何?」
「月が…、綺麗だね…。」
「えっ、ああ…。 そうだね。」
そこで、ふと思い出した事を言ってみた。

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