恋愛妄想短編集【完】
第2章 偶然と必然 [完]
私の無言の返答に、さらに彼は優しく微笑む。
「サクラさん、こちらへ来てください」
本当にどうしてしまったんだろうと思うほど、私の体は彼の言葉に静かに従っていた。
こんなのいけないはずなのに、彼の不思議な魅力と、このまま近付いたらどうなるのかという好奇心が、私を動かしていた。
彼の目の前まで来ると、彼は私の手を引いてゆっくりとベッドへ導いた。
「せっかくベッド綺麗に整えてくれたばかりだと思うけど、ごめんね」
そういって私を優しくベッドに転がす。
その流れで彼の顔も近付き、気付いた時には私と彼の唇は重なっていた。
「んっ…」
キスはだんだんと深くなり、舌を絡められ、激しさがましていく。
それは今までにないくらい、とても気持ちがいいと思える物で、私は素直に身を任せた。
「ずっと…あなたとこうしたかった。とても可愛いです、サクラさん」
しばらく経って唇を話すと、彼は私の顔をじっと見つめていた。
「あの…あんまり見ないでくださいっ…」
恥ずかしさとキスの余韻からか細い声で訴える。
それすらとても愛おしそうに、彼は大丈夫だと続けた。
とても優しい目をして、私を安心させた。
そのまま細く綺麗な指先で、まるで割れ物を扱うかのように優しく髪をとく。
こうされていたら、安心して眠れそう…