恋愛妄想短編集【完】
第2章 偶然と必然 [完]
安心しきった私にそういった行為をするのは、息をするように簡単なわけで…
「あの…手…」
彼の手はいつの間にか私の肌に直接触れていて、形を確かめるように、お腹から胸の膨らみにかけてを何度も往復していた。
「サクラさんはなにも考えなくていいです。私の手を感じてくれれば、それで…」
そう言いながら嬉しそうに口元を緩める彼は、こういった状況を本当に望んでいたらしい。
そんな嬉しそうな彼をみたら、諦めが入ってきてしまう。
今までに、これだけのことで、こんなにも喜んでくれた人はいただろうか?
考えを巡らせる中、彼の手は突然胸の突起に触れた。
「あぁっ…!」
考えることに集中しすぎて、彼から与えられる刺激を忘れてしまっていた。
油断していたとも言うが…
突然のその強い刺激に、一気に現実に引き戻された私は、また羞恥心が湧き上がってきた。
私なんでこんな格好を!?
さっきまで確かに服をきていたのにっ…!
男性の前で、普段なら絶対に見せることのない、布をまとわない上半身に、顔を赤くするしかなかった。
「サクラさん…本当に可愛らしい…」
さらりと恥ずかしいセリフを口に出す彼。
慣れているのだろうか…と思ってみれば、彼も少し顔が赤く染まっているような気がした。
それが妙に嬉しくて、完全に諦めモードに入ったのが自分でわかった。
それを悟ったかのように、胸にあった手がゆっくりと、下にあるそれへと向かっていく。
多少の不安と期待を持ちながら、その手から与えられる刺激を待った。
そして、ようやく彼の手は、いつの間にかズボンを降ろされ、下着だけをまとったその場所に触れた。