恋愛妄想短編集【完】
第3章 涙の虜 [完]
…よし!
寝るところがなくてうちに来るわけだし、要は夜だけ我慢すればいいんだから!
ガチャッーー
無理やり自分を納得させて、家の中に入った。
「あら、おかえり。早かったわね」
玄関の音に気付いたお母さんが私を迎えた。
そりゃいつも終わるの昼過ぎだからね。
まだ11時を過ぎたくらいで、バイトに行ってから約5時間。
普段だったらあと3、4時間はある。
「ただいま〜。ちょっと調子悪くて早く上がらせてもらったの。まだ治ってないからちょっと昼寝する」
「あぁそう。お昼どうする?もうすぐだけど」
「んー、いらないかな」
短い会話を済ませ、私は二階の自室に向かった。
調子が悪かったわけではないのに、本当に悪くなってきた気がする。
ガチャ…
部屋に着くと、ポスッとまくらに顔を埋めるように寝転がる。
そのまま今日はいいことなかったな〜なんて考えていると、だんだんと意識は薄れていった。