恋愛妄想短編集【完】
第3章 涙の虜 [完]
「これさ、この間知り合いにもらったんだよ。」
「…え?」
そういって指を指している方にあったのは…
なにこれ…手錠?
手錠のようなものでベッドの角にかけられ、両手足はそれで拘束されていた。
そして体の上にはソウちゃんの体があるために、私の体は完全に動けなかったようで…
「やだっ…とって!どいてよソウちゃん!」
なんで格好になっているのか、どうしてこんな目に合わなければならないのか…
なにもソウちゃんの考えが理解できなくて、怖くなって…
私は、泣いてしまった。
「ソ…ちゃん…ど、して…こんなこと!」
泣きながら、必死に声を出す。
ソウちゃんのことが理解できないからこそ怖くて、不安を取り除くために知りたかった。
ソウちゃんの考えを。
「ふっ…泣き虫なところはかわんねーのな、レイ」
そんなことっ…どうでもいいじゃない!
本当になにを考えているのかわからない。
「ソウちゃんっこれ…といて、よ」
どうしてこんなことをするの?
昔からそうだった。
意地悪な事ばかり繰り返して、いつも私を泣かせるまでやめなかった。
そして泣くと、もっとエスカレートしていった。
泣いた私の顔を見てすごく嬉しそうに笑う悪魔の顔は、今も鮮明に覚えている。
「俺さ、お前の泣いた顔…すげー好きなんだわ」
「え?」
「だからさ…
もっと泣けよ」
ニヤリと笑った綺麗な顔の悪魔が
私の顔に近づいて
私の唇と悪魔の唇が
触れ合ったーーーーーーー