恋愛妄想短編集【完】
第1章 近すぎた想い [完]
しばらく経てば寒いと感じるほど温度が下がっていた。
「ねえ温度下げすぎ、私のことも考えて」
タケルはチラッとこちらを見る。
「知らねーよ、服着ろ」
すぐに視線を戻して冷たく言い放った。
「そんなだからモテないし彼女できないってことわかってんの?」
そんなこといっても、顔はそこそこなわけで。
人の部屋で好き勝手してくるこいつにムカついて言ってしまったが、モテないはずがない。
今まで告白されてるのは見ても、彼女らしい女性をタケルの周りで見かけることがなかったのが不思議なくらい。
実はあっちなのかと思ったり。
「俺は好きなやついるからいいんだよ」
へー、好きな人ね。
「…好きな人!?」
あまりにもナチュラルに言われ、危うく流してしまうところだった。
「そう、小学校の時から。てか寒いな」
だから言ったろーが!!
「消す?」
「消さない」
意味わかんない!
寒いなら消したらいいじゃん!
そう考えていると、タケルは起き上がり自分の隣をポンポンと叩いた。