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俺が教えてやるよ。

第1章 可愛いね、お姉さん

よくできた兄。
小さい頃から思ってた。
気配りができて他人思いで、周囲に人が集まってくる。
一番近くで、憧れてた。
あたしには想像もつかないこと、あたしにはできないことを簡単にやってのけるお兄ちゃんを、ずっと尊敬してたんだ。

「ほい、カレーお待ち」

テーブルに置かれた見慣れたカレーライス。

『ありがとう』

いい匂い、美味しそう。

「おぅ、じゃあ俺、帰るな?」

『うん』

「しっかり食べろよ。それから鍵、ちゃんと閉めろよ」

『…分かってるよ』

会うといつも、このセリフ。
心配しすぎだよ、子どもじゃないんだから。
『はぁ』とため息をついて笑ったあたしの頭に、お兄ちゃんの手が乗った。

『…なに?』

「んー?じゃあな」

不思議そうな顔のあたしに一瞬、微笑んで、お兄ちゃんは部屋を出ていった。

頭を触られると、自然と笑みがこぼれる。
これだけで安心してしまう、あたしは、まだ子ども。
お兄ちゃんの笑顔が好きなんだ。

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