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KAGO

第4章 誘惑

僕が必死に運んだ段ボールが、僕がちょっと目を離した隙に全部なくなっていた。


「ありえない…」

周りには誰もいなかった。
気配も足音もなかった。

ドクンドクンと心臓が大きく脈を打つ。


「か……夏奈子さん!」


動揺する自分をなんとか落ち着かせて、夏奈子さんの名前を呼んだ。


「夏奈子さん!!」



「どうしたの、緒方くん」

「…っ…」


振り返ると、夏奈子さんがキョトンとした顔をして立っていた。

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