
泣いて、笑って、恋をした。
第2章 act1
「すみません」とまた私が謝るとおばさんは切なく笑ってくれた。
訪問客とセレモニーホールとの対応は、カズのおじさんがしてくれた。
カズの家は家の店から10分もかからない場所で酒屋をしている。
うちの母親も橘の両親もこの街が地元で、昔からの知り合いだった。
私とカズは言わば幼なじみ。
保育園から高校の今でもずっと一緒。
「梨花ちゃん、家に泊まる?」
あの家に帰る私を気遣っての言葉なのは分かっていたけど、私は首を横に振って「大丈夫です」と笑っておばさんを見つめた。
