
泣いて、笑って、恋をした。
第2章 act1
ふぅ……
車が見えなくなり振り向いて店の玄関先を見つめた。
何時もならこの時間には、錆び付いたネオンが頑張って光を放っているのに、
今日は闇夜に飲まれ真っ暗のまま。
もうこの店にネオンが付くことはない。
一生ない。
あるとすれば、この店が誰かの手に渡った時。
これから考えることはたくさんあった。
膨れ上がった店の借金
私のこれからの生活
高校に今まで通りに行けるはずはないだろう。
じゃあ、働かないと
何の資格もない、
16の私になにが出来るのだろうか。
光りない店先でボーッと考える。
繁華街からの活気のある声が遠くで聞こえる。
そちらに視線だけ向けると、キラキラしたネオンの光りが漏れて見える。
