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泣いて、笑って、恋をした。

第2章 act1






少し先の店の前で男が一人踞っている。
そして店の中からゆっくりと男が出てくる。




錆びたような銀色の髪を後ろへ流し
ジーンズを腰履きして、黒いライダースジャケットを着ている。




その辺を歩いている男と代わりはないように見える彼が"夏目蓮太"だった。
けど、彼の周りに纏わり付く空気はどよんだように重く感じる。





それは私も少しながらもこの"夏目蓮太"の噂を耳にしたことがあったからかもしれない。




彼は「すいません!すいません!」と額を地面に擦り付けている男の前に、ゆっくり膝を曲げ腰を沈める。




視線をそこからそらさず、少しずつ人が集まる方へと私も近付いて行った。




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