
泣いて、笑って、恋をした。
第2章 act1
そして、私が彼達の近くで足を止めた時に彼の腕が振り上がって、あっ!と思ったと同時にゴンっ!と言う鈍い音が聞こえた。
「うっ、うっ」
男が頭を抱えるようにして痛い!痛い!と転がり回る。
彼が土下座する男の頭をそのまま上から殴りつけたからだった。
彼は口元に笑みを浮かべ「死ね」と吐き捨てるように男の襟元を掴み、自分の方へと引き寄せ、まだ痛がる男に馬乗りになり、何度も何度も男の顔を殴り付けた。
血だらけの男は完全に伸びていて、人形のようにダラーンとなった体を彼に好きなように殴られていた。
