
泣いて、笑って、恋をした。
第2章 act1
それなら……
母親はもがき苦しみながら逝ったのだろうか。
後悔しながら逝ったのだろうか。
残される私を少しは想いながら逝ったのだろうか。
「退け」
男から私を離すように彼が私の腕を掴み立たせると、まだ気を失って居る男の襟ぐりを掴みガーンと近くのガードレールに投げるようにして、そのすぐ横に立ちロータリーとは逆の方に視線を向ける。
すぐに白いRVの車が彼の脇に滑り込み勢い良く後ろのドアが開いた。
車からは厳つい二人の男が降りて、深々と彼に頭を下げた。
「連れてけ」
彼に言われるままに気を失って居る男の両脇を掴むようにして、車に男を乗せるとまた彼に頭を下げ車に乗り車は凄いスピードで来た道を引き返して行った。
