テキストサイズ

チェックメイト

第11章 Are you ready?

男「落としましたよ」

にこやかな笑みを浮かべて、
俺に飴玉を差し出した。

「え、飴?」

男「あれ?これ、あなたのじゃないんですか?」

「違います、違います」

手を顔の前で何回も振る。

男「あー、なんかごめんなさい」

照れ臭そうに笑った。

「いや、いいんです」

なんだか、こっちまで照れ臭くなる。

男「あ、そういえばボールペン探してるんですよね?」

「え、なんで…」

男「いや、ボールペンって何度も呟いてたんで」

「あーなるほど…」

公共の場で、そんなこと言ってたのか。
恥ずかしい…。

男「ボールペンなら、在庫切らしてるらしいですよ」

「えぇ!そうなんですかっ」

男「俺も、ボールペン欲しかったんですけどね…」

「赤ペンないと困るな…」

男「よかったら…」

イケメンの男性は、鞄をゴソゴソと漁ってペンケースを取り出した。

男「ボールペンじゃないですけど、ペンならあるんです。あげますよ」

「え、いいんですか?」
男「はい、俺は赤ペン必要ないんで」

ニコッと笑う男性から、
俺は赤ペンを貰った。

「ありがとうございます」

男「いえ、もう遅いですから…早く帰ったほうがいいですよ」

つくづく優しい男性に頭を下げて、
家に向かって歩き出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ