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チェックメイト

第11章 Are you ready?

ガチャ。

「ただいま…」

帰宅すると櫻井さんの声が聞こえない。

テレビの音だけが、聞こえる。

もしかして…。














いないかも。














頭の中を過った。


「櫻井さん!」

リビングに駆け込んで、
櫻井さんを目で必死に探す。

櫻「んあー、お帰りー」

寝てたのか、大きな欠伸をして笑った。

「お帰りーじゃないよ…」

その場にしゃがみこんで、
ほっと息を吐いた。

櫻「え、どうした?」

俺のもとに駆け寄って、
背中を擦る。

「いないと思ったじゃないかよ…」

ついつい溢れる本音。

櫻「いるよー、俺はいるよー」

ぎゅーっと抱き締められて、
櫻井さんの重みで倒れる。

「うおっ、わっ…」

櫻「お帰り」

急にふっと笑って、俺に微笑みかけるから…。

ドキドキしちゃうじゃん。

「た、ただいま…」

櫻「もっかいする?」

「あ、明日、学校なんだからっ」

櫻「そっかー。じゃ、おあずけだな」

俺から離れると、スーツをクローゼットから出して
リビングにあるフックにハンガーごと掛けた。

櫻「ん?」

俺の視線を感じて振り返る。

櫻「これ、毎日の日課」

ニカッと笑った。

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