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第12章 僕の理想も

(大野side)

気づいてなかった。
と、言えば嘘になる。

すぐに気づかないし。


ニ「お、俺…トイレ行ってくるッ!」


あたふたして、教室を出ていく。

あーゆー所が可愛くて…。
俺を半殺しにするんだよ。

「はぁあ……」



『櫻井翔』



忘れるはずがない。
和也の初恋の相手なんだから。


────

ニ『智…』

『んぅ?』

ニ『カッコよかったね…』

『………うん』

────

あの、うっとりした表情を忘れるはずがない。

俺がずっと想ってきた和也を、
あの人はいとも簡単に………

落としたんだ。

「はぁあ…」

?「おーの、なにため息ついてんだよ」

背中を叩かれる。

「……ヒロちゃん」

前原「だから、ちゃんをつけるな」

そう言って
「あはは」と笑った。

「どうしたの」

前「ため息ついてっから、気にかけてやってんの」

頭をくしゃくしゃ撫でられた。

「子供扱いしないでよッ」

ヒロちゃんは、俺より8㎝も背が高い。

前「ごめん、ごめん」

笑いながら謝る彼からは、
『ごめん』って気持ちがまるで伝わってこないよ。

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