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チェックメイト

第12章 僕の理想も

(二宮side)

「あのさ、随分前の話に戻すね」

てか、本当はこの話だったんだけど。

大「ん?なに?」

「櫻井さんって覚えてる?」

大「うーん…」

智は、斜め上を見て考え始めた。

「覚えてない?」

大「覚えてるよ、あの綺麗な女の人と一緒にいた人だよね?」

「……?」

綺麗な女の人?
誰?


大「あれ?違った?」


「そんな人、いたっけ?」

大「うん。覚えてない?」


全く覚えてない…。
女の人なんて…いなかったよ…。


大「俺たちを助けてくれた男の人、だよね?」

そうだよ。
そうだけど…。


「ごめん…女の人は、思い出せない」


頭が痛い。
思いだそうとすると、頭の奥がズキッと痛む。

眉間にシワを寄せて、こめかみに手を添えた。
歯軋りまでは、いかないけどグッと歯に力をいれた。


大「和也?大丈夫?」


肩に手が触れた。

「うん……保健室、行ってくる…」

大「一緒に行くよっ」

「ううん……大丈夫……」


棄てたはずの朝の記憶が、
また戻ってきた。

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