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チェックメイト

第12章 僕の理想も

(前原side)

授業をサボろうと、保健室に来た。

「ん?」

珍しく、先客がいる。
保健室はめったに人の出入りがない。

まあ、誰かがヤってるかもだけど。

シャッ、とカーテンを開けると
見慣れた顔があった。


「二宮か……」


寝てるのに、眉間にシワを寄せて不機嫌そうな表情だった。

夢ん中でも、不機嫌なのかよ。

二宮は、俺の事を好いてない。
それを知った上で、二宮とつるんでる。


ニ「…なつみ、さん」


「え?」

カーテンを閉めかけた手を止めた。


ニ「……っ、ふぅ…」


寝てるのに。
寝てるのに……

泣いてる。
嗚咽を漏らしてる。


「なにしてんだよ…」


ベットに腰をかけて、二宮の涙を手で拭っていく。


「おい…」


シャツの裾を掴まれる。
その手が、なぜか弱々しく見えた。

いつも、智とふざけたことしたり…
毒を吐いたりして…



弱さなんて、絶対に見せないのに。


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