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第13章 風は追い風

松「会いた─」
「嫌だ」

即答してやった。

松「なんでよー」

潤は、積んであった資料を持ち上げた。

松「会うぐらい、いいじゃん」

そう言いながら、
資料を棚に一冊ずつ戻していく。


「なんか、潤には会わせたくない」


聞こえないように言った。
のに……


松「なんだよ、それ」


地獄耳。
この地獄耳野郎が。

「何となく嫌なんだよ」

頭を軽く掻いて、潤に視線を向ける。

松「んだよ、それ」

前に、潤は俺に『口が悪い』と言った。
でも、潤もそれなりに口が悪い。

人のこと言えた義理じゃねぇだろ。


「ちょっと、出てくる」


携帯を軽く上にあげて、
潤に見せて人気(ヒトケ)の少ない場所に足を進めた。

アドレス帳を開いて、
『二宮和也』の名前をタップする。


そして、何度目かのコールで
二宮の声が聞こえた。

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