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第14章 君が溢れてる

櫻「ご飯、食べた?」

腕のなかで首を縦に振る。

櫻「んじゃ、寝るか」

そう言われたけど、櫻井さんから離れたくなかった。

櫻「なに?どうしたの?」

笑いながら、俺を抱き上げた。

「あの…」

櫻「ん?」

「あのハンカチ…誰の?」

ギュっと抱きついて、
震える唇を必死に抑えて
呟くように言った。

櫻「ハンカチ?」

「……」

怖くて、何か喋ったら今にでも泣いちゃいそうで…
俺は黙って頷くしかなかった。


櫻「どんなやつ?」

俺を抱き抱えながら、
洗面所へと足を進める櫻井さん。

櫻「教えて?」

優しく声をかけてくれた。

「ピンクの……」

震える声と一緒に涙が落ちた。

いつから、こんなに涙脆くなったんだろう…

櫻「ピンク?」

櫻井さんは首を傾げて、
「ごめんね」って言って
ゆっくりと俺を降ろした。

櫻「んー、どれ?」

「……コレ」

見つけた場所を指差す。
すると、櫻井さんはそのハンカチを笑いながら手に取った。

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