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第14章 君が溢れてる

櫻「二宮?」

「…なに?悠斗さん……」

ここは、櫻井さんの家。
なのに…櫻井さんがいない。

きっと、俺を捨てたんだ。

櫻「俺は、櫻井だよ」

「なに言って──」

櫻「見て?ちゃんと俺の目を見て?」

なんで櫻井さんのフリなんてするの?
悠斗さんは、櫻井さんを恨んだり、憎んだりしてるんじゃないの?

涙で、だんだん前が見えなくなる。

櫻「二宮、俺は誰?」

「……」

櫻「声は?顔は?匂いは?」

その言葉をしっかりと、受け止めて
ゆっくりと確認していく。

櫻「ゆっくりでいいよ。この声は誰の声だと思う?」

違う…。
悠斗さんの声じゃない。

俺が好きになった人──

櫻「顔は?よーく、見てみろ」

見なくても、わかる。


“櫻井さんだ”


そう感じた瞬間、涙が溢れた。

櫻「わかった?」

優しく微笑む姿が、
余計に俺を安心させた。

だから、だから……

涙が止まらなくなるんだよ。

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