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第14章 君が溢れてる

(櫻井side)

泣きわめく二宮を抱き止める。

「二宮…」

ギュッと抱き締める。
この腕から離したくない。

泣かせたくない。

『好きだ』
こんなに素直に思えるのは、初めてだ。

ずっと、傍にいたい。
……いてほしい。

ニ「うぅ…」

未だに泣く二宮の背中をポンポンと、
撫でてやる。


「二宮、俺は誰だった?」


俺を『悠斗さん』って言った二宮に
問いただす。

ニ「しゃくらいしゃーん、うぁっ…」

涙と鼻水でグシャグシャな顔を見せた。

「はは、グシャグシャだな」

ニ「う~」

声を少し洩らして、
ゆっくりと俺の顔に近付いた。

「ん?」

ニ「んっ!」

唇を尖らせて、目を瞑った。

…キスしろと?

ニ「んぅ~!」

俺の太股の上で駄々をこね始めた。
本当に、小さい子どもみたいに。

「あ、暴れんなって!うおっ!」

押し倒されてすぐに唇に何かが触れた。
その何かに気付くのに、数秒かかった。



ニ「……好き」



唇に触れたのは、二宮の唇だった。

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