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第14章 君が溢れてる

二宮からキスするなんて…。

「駄目だ…好きだ」

まだ涙の痕が残る二宮を抱き寄せる。
二宮は、跨ぐどころか全体重を俺にかけて寝転がっている。

「おし、二宮。起きろ」

起き上がらせて、ソファに座らせる。

そして、言わないといけない。


「不安にさせて、ごめんな」


しっかりと二宮の目を見据えて言った。

「あのハンカチ、多分元カノだ」

ニ「え、お母さんのじゃ…」

「ごめん、嘘ついた」

正直に謝った。
そして、嘘をついたことを責めた。

ニ「な、なんで?」

「元カノのって言ったら…二宮が傷つくかと思って…」

“これは二宮を守るための嘘”
だと、自分で正当化していたんだ。

自分が正当化したって、相手がどう思うか、感じるかなんてわからないのに。

ニ「ありがとう…」

「え?」

一瞬だけ、世界が止まって見えた。
それは、二宮の言葉に驚いたから。

ニ「俺のために、嘘ついてくれ─」

「いい!」

ニ「え」

「それ以上優しくしないでくれ…」

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