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第14章 君が溢れてる

優しすぎるんだ。
俺は、お前を裏切ったんだ。

だって、嘘をついた。
お前を怖がらせた。

それが何よりの罪だと思う。

ニ「櫻井さん」

「ごめん…ちょっと、出てくる」

立ち上がると、腕を掴まれた。

ニ「行かないで」

高校生なのに、
反抗期なのに、

なんでこんなに…
綺麗な目でいられるんだ。

怖いぐらい、純粋なんだ。


ニ「嘘ついたんだから、櫻井さんが傍にいないといけないでしょ」


笑顔でもない、微笑みでもない、
イタズラな笑みを浮かべた。

「お前なぁ…」

ニ「行ったら許さないよ?ダーリン♡」

いつかの懐かしい言葉を発する。

そっか。
まだ、出会って1ヶ月も経たないんだ。

懐かしい、なんて言うには早い。

だけど、ずっと前から──


『ありがとう』


頭の奥で響いた、
いつかの“音”。


ニ「櫻井さん?」


誰だ。
この声、聞いたことある。

お前、誰だ。


ニ「櫻井さん…大丈夫?」

「二宮」

ニ「ん?」

「もう、寝ようか」

俺の言葉に、二宮はただただ頷くだけだった。

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