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チェックメイト

第15章 今、思いのままに

そんなこと、歳を重ねる度に忘れていった。

男の子「和兄ちゃん、これ教えて?」
女の子「えー、私が先!」

反抗期になんてなってる場合じゃなかった。

「順番、順番!」

この施設で育つ子達は、何等かの事情を抱えてる。
それは、俺も同じだった。

先「和也、お客さんだよ」

歳をとった先生は、娘さんと一緒に施設を支えていた。

「うん。あ、待っててね」

小さい子達を待たせ俺は、客間に向かった。

ガチャ。

「?」

客間にいたのは、知らない女の人。

先「和也のお姉さんよ」

「………………………はあ?」

心底驚いた。

姉「和也…よかった…」

何がよかったんだよ。
俺に何のメリットがあんだよ…。


先「彼女は和也を迎えに来たの」


俺を……迎えに?


「どうして。」


声が低いのに、自分でも気づいた。


姉「ずっと、捜してたの。私には血の繋がりがあるのは和也しかいないから」


笑ったんだ。
嬉しそうに、笑ったんだ。

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