無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

（二宮side）

……来てしまった。
見上げると、大きなビル。

櫻井さんは、毎日こんな大きい会社で働いてるのか……。

にしても………入る勇気が出ない。

櫻井さんに、会いに来たけど…。
会社に乗り込む勇気が出ない。

クッソ！
ここまで来たのに。

「はぁ……」

かといって、帰ろうともしない。
心の奥の方で、

“櫻井さんが見つけてくれないかな”

と、思ってる。

そんな、漫画じゃあるまいし…
都合の良いことなんてそんな簡単に起きるわけがない。

「……意外と寒いかも」

初めて、櫻井さんとちゃんと話をしたのがここだったっけ？

待ってる間、ずっと考えてた。


『本当に、櫻井翔なのだろうか』


まあ、そんな不安も昨日、解消されたんだけど。

でも、俺はきっと初恋の相手の
“櫻井翔”じゃなくても、傍にいたと思う。

最近は、そんな風に思う。

「んー、帰ろ」

待ってたって、来ないし。
会ったとこで、何をするわけじゃないと思うし。