テキストサイズ

チェックメイト

第17章 星がじわり

(櫻井side)

多少の気まずさはあった。

二宮だって、気まずいと思うし……。
なのに、会社にまで来てくれた。

「二宮、ごめんな」

車を発車させてしばらくの沈黙を破り、謝った。

ニ「いいよ、別に。」

そう言う二宮は、ずっと窓の外を眺めている。
車に、乗ってから一回も目を合わせてくれない。

ニ「……“ついで”なりに努力しますから」

俺に当て付けのように、言った。

「あのさ…言わないといけないことがあるんだけど」

ニ「なに?」


「俺にとって、二宮は特別な存在なんだからな」


言わないと、
伝えないと、

言葉にしなきゃ。


「二宮を“ついで”なんて、思ったことなんてない」


ニ「……うん」


…『うん』。
そのあとの沈黙は、長かった。

だけど、少しだけ空気が柔らかくなった気がする。

そして、二宮は窓の外ではなく
正面のフロントガラスから外の景色を見始めた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ