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第3章 季節の中に

櫻「お、おい…大丈夫か?」

「えっ?」

オロオロしだした。

櫻「泣いてるじゃねぇかよ」

俺の手からごみ袋を取り、頬を流れる水を側にあったティッシュで拭き取った。

櫻「大丈夫か?どっか痛いか?」

なんか、暖かい。
こんな気持ち、初めて…。

櫻「おい、なにニヤニヤしてんだよ。気持ちわりぃな」

そう言って、ごみを回収し始めた。

「俺も手伝うよ」

櫻「だーかーらー!お前は寝ろ!」

そんなこと言われたって、
俺は屈しないよ。

「食器、洗うね♪」

素早くキッチンに立ち、スポンジに洗剤を垂らして泡立てる。

櫻「お前は本当にワガママだよな」

「今日、初めて会った人に何がわかるんですかー?」

コップを水洗いして、スポンジで擦ろうとしたとき櫻井さんが言った。

櫻「…お前が苦しんでること」

言いずらそうな雰囲気を出して言った。

「……苦しんでなんて」

櫻「強がるな」

『苦しんでなんてない』
って言おうとしたのを止められた。

「……」

櫻「なんでも一人で抱え込むな。お前にはもう俺がいるだろ」

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