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第6章 夢を見てる

「櫻井さん、好き」

キスなんてしなくたって、一緒にいるだけで抱き合ってるだけで幸せだよ。

だって、暖かいから。

身も心も……暖かいよ。

櫻「んぅ…」

寝返りを打った櫻井さんの唇が、髪に触れた。

吐息が耳にかかってゾクゾクする。

「くすぐったいよ…」

そんなことを言いつつも、喜んでる。
でも、それは櫻井さんだからだよ。

悠斗さんだったら…自分から抱きついたりしない。

抵抗も出来ない。

殴れない。

蹴れない。

手を突っ張ることさえも許されない。

櫻「二宮…?」

「櫻井さん…」

嫌だ。
考えたくない。

櫻井さんといるときは、
悠斗さんのことは考えたくない。

櫻「…はよ。どーした?」

背中をポンポンと撫でられた。

「…やなこと思い出した」

櫻「そっか…じゃ、こっち向いて」

言われた通り、櫻井さんを見上げる。

ちゅっ。

「ん…」

櫻「嫌なこと、思い出せないぐらい俺でいっぱいにする」

微笑んで、額にキスされた。

「櫻井さんで、いっぱい?」

櫻「そ。」

「なれるかな…」

櫻「うん」

髪にキスして、しばらく見つめ合って
再び唇を重ねた。

「櫻井、さん…」

櫻「ん?」

「このまま、寝ていい?」

櫻「うん、お休み」

「櫻井さんも、一緒に…」

頬が紅く染まるのが、自分でもわかる。

櫻「いいよ、お休み…」

布団をパサッとかけられて、再び強く抱き締められた。

そのまま、櫻井さんの優しい香りに包まれて眠りについた。

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