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チェックメイト

第6章 夢を見てる

「悠斗さんは、姉貴の旦那さんなんだ」

櫻「原さんの?」

「うん。最初は……ごめん。全部話しちゃうかも…」

火傷のことを話したら、全てを話さないといけないことになるのに今気づいた。

櫻「そっか…じゃ、ラーメン食べてからにしよっか?」

後ろからギュッと抱き締められた。

「うん」

怖い。

話したら、嫌われるんじゃないかって。
自然と、涙が溢れる。

櫻「泣かないで…大丈夫だから」

辛さも、弱さも、櫻井さんなら受け止めてくれる?

俺のこと、嫌いにならない?

櫻「二宮、安心しろ。ここには、俺とお前しかいないんだから」

耳元で、囁かれる。
吐息がかかって少しくすぐったい。

でも、櫻井さんの言葉には魔法がかかってるんだ。

櫻「何があっても、離さないから」

俺は半回転して、正面から櫻井さんに抱きついた。

櫻井さんは、少し笑いながら
「もー、どうした?」
と、言って俺を抱き締めた。

この時間が、俺にとっては大切なものなんだ。

「櫻井さん…」

櫻「何?」

「俺のこと、離さないでっ…」

恥ずかしかった。
こんなこと言うのとか初めてだったし。

櫻「あったりめーだろ」

その言葉を聞いた直後、麺を放置していたことに気づいた。

「あー、麺!」

再び半回転して、鍋に向かうと肩を叩かれる。

「え?」

ちゅっ。

「っ!」

櫻「ご褒美な」

いつから出来たの…ご褒美制度…。
まぁ、いっか。

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