テキストサイズ

チェックメイト

第7章 縮めた距離

すっかり黙りこんだ二宮。

「苦しかった?」

二宮の手をとり、その手に唇をそっと添わす。

「痛かった?」

次は、手首に唇を添わす。

二宮は、時おりビクッと体を震わせる。
けど、質問には答えなかった。

「……辛かった?」

火傷の痕を見つめて聞く。

ニ「……」

それでも、二宮は答えようとしない。

「安心しろ。ここには、俺とお前しかいないんだ」

視線を上げて、二宮と目を合わす。

「大丈夫だから」

声をかけると、ボロボロ涙を流した。

その涙は、さっきよりも明らかに大粒で
透明なはずの涙が、汚く見えた。


ニ「怖かっ…た…ずっと、ずっと誰かに…助け、てもらい…っ…たかった」


しゃくりを上げながら泣く二宮は、

今までの“泥”を必死で取り除こうとしているようだった。

「俺が…俺がいるから…」

強く、強く抱き締めた。
二宮の体は、あまりにも細くて折れてしまいそうで少し怖くなった。

ニ「…う~、んっ…っ…」

俺の背中に手を回すことさえせずに、
ただただ俺の腕の中で泣いていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ