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第8章 君に夢中さ

「さ、櫻井さん!?」

待っててって言ったのに…どうして…。

櫻「趣味悪いな。でも、これは着せてみたい」

「…」

櫻「嘘だよ」

シャっとハンガーを一気にズラした。

「あ、制服…」

櫻「体育着とか、ジャージは?」

「この箱のなか」

櫻「はいよ。開けてやるから待ってろ」

しゃがんで俺の体育着とジャージを取り出して俺に渡した。

「ありがと」

櫻「嫌なこと、思い出した?」

「まぁ…うん…」

櫻「そっか。どうせ、ここには二度と戻ってこないからね」

下から見上げて微笑んだ。

「二度と?」

櫻「え?戻ってくるの?」

「戻りたくない…」

戻りたくないけど、戻らなければいけない日が来そうで…怖い。

櫻「よし、最低限のものは持った?」

「うん、持った」

櫻「じゃ、出ようか」

「うん…」

戻らなければいけない日は、
きっと…必ずやってくるんだ。

だって……

カメラが俺らを見てる。

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