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第8章 君に夢中さ

「どうして、そんなカッコいいことしちゃうの?」

涙が出た。
強張ってた体から、力が抜ける。

櫻「おっと…」

崩れ落ちる体を支えてくれた。

「ダメだよ…もぉ~」

初めてだ。
何も考えてないのに、涙が出るの。

強く、強く体を抱き締めた。

櫻「ダメとか言うなしー」

ふわっと抱き上げられた。
そのまま、歩き出した。

櫻「カッコよかった?」

「んぅ~、知らないよ」

櫻「あはは。卵、買いに行こうか」

「もぉー、帰りたい…」

櫻「あ、卵、家にあるよ」

「はぁ!?」

櫻「今、思い出した」

嘘つくなよ。
俺に決断させるために…。

櫻「ほら、帰ろう」

「んぅ~、酷いよ~」

櫻井さんの胸板を叩く。

ノロノロと立ち上がって、車に乗り込んだ。
そのまま、家に帰った。

けどまだ足が震えてて抱き上げられた。

「でも……」

櫻「ん?」

「……き」

櫻「え?」

「だから…ぅき…」

櫻「ごめん、聞こえない」

本当は、聞こえてる?
疑う俺を見て、言葉を付け足した。

櫻「あ、嘘じゃないよ。マジで」

「だから!」

もう二度と言わねぇ。
最初で最後の言葉にしてやる。

「好きだって言ってるの…」

ギューって抱きついて、
真っ赤な顔は絶対に見せない。

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