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第8章 君に夢中さ

櫻「やだー、二宮ったら可愛いー」

茶化すような口を利いてくる。
頑張って伝えたのに、茶化すなんてさ。

酷いよ。

櫻「ん?二宮?」

「降ろして」

櫻「え?」

降ろされた俺は、玄関を開け、ソファーに荷物を置いて櫻井さんに言った。

「櫻井さんって、デリカシーないよね。俺、学校行く」

櫻「はぁ?」

「櫻井さんといるなら、学校行ってた方がマシだもん」

鞄から、制服を探す。
ゴソゴソしてる間、俺は期待してた。

「ごめん」
って言って、学校に行かないように引き留めてくれると思ってた。

なのに…。

櫻「なんだよ、デリカシーないって」

フイッとそっぽを向いて、
俺とは真逆のほうに足を進めた。

「自覚とかないんだ」

ここまできたら、さすがに俺も引き下がれなかったりする。

だから、余計にムキになってしまった。

櫻「デリカシーがあるかないかなんて自覚するものじゃないだろ」

「はいはい、そーですねー」

確かにデリカシーがあるかないかなんて自覚するようなものじゃないかもしれない。

けどね。

ここまできたら、引き下がれない。

櫻「なんだよ、その言い方」

どうして、
素直になれないんだろ。

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