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第2章 慈しみ

ユキ様は、とても物知りでいらっしゃいました。
私が知らなすぎることもあるのだと思います。
しかしそれを置いても、知識が豊富な方だったと思います。
ユキ様とのお話は、私には難しいことも多かったです。それにも増して、楽しいことがありました。
私はユキ様に、モノを覚え、考える楽しさを教えて頂いたのです。
空は何故青いのか。
そんなこと1つとっても、捉え方によって様々だと学びました。
こんなに至らない私に、丁寧に分かりやくお話ししてくださいました。
ユキ様と出会って1年が過ぎる頃には、それなりに本を読むことが出来るようになっていました。
それもすべてユキ様のお陰でございます。
色々と教えて頂いた上に、私が気に入った本をくださるなど、ユキ様には迷惑を掛けっぱなしだったと思います。
それでもユキ様は、
いいんだよ。大切に何度も読み返してくれる人のところにいた方が、本は幸せだと思うんだ。
などと仰ってくださるのです。
私は、そのお言葉に甘えさせていただいたのです。
ちょうどその頃辺りでしょうか、戦局が怪しくなってきたのは。

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