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雪の日の空に

第4章 表と裏

「あの人、塩沢さんと付き合ってるって言う…。」

「え、嘘でしょ?何であの人と?」

その日から一躍有名人になり、噂好きのOL達の恰好の餌食になった。

「なぁ、永橋。あの噂マジなの?」

伊藤さんの耳に入っているということは、ついに男性社員の耳にも噂が広がりつつあるのか。

「でたらめですよ。第一私、そういうの興味ないですし。」

ただのお茶汲みOLの私が色々言われるのは構わない。

塩沢さんは、大丈夫なのだろうか。

こんななんの取り柄もない、平凡な女と噂されて、エリート営業マンの名前に傷がつかないか心配だ。

ただでさえ、社内恋愛なんてひた隠しにするのが社会的暗黙のルールだと言うのに。

1日が長く感じる。

しばらくこの状態が続くのはやっぱり堪える。

やっと仕事を終え、更衣室に入る。

いつもの美咲のとおしゃべりの時間ももうないのかと思うと胸に穴が空いたようになった。

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