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雪の日の空に

第5章 再スタート

「あんま煽るな。最後までしたくなる。」

まだ、熱を残した体を壁に預ける。

「何も無いなんて言えなくなったな。」

フッと笑った顔が、色っぽくて引き込まれそう。

「おい…、大丈夫か?」

頬に手が触れて正気を取り戻した。

「な、なにするんですか!?」

「何って…、既成事実作ったんだけど。」

悪びれる様子もなく、当たり前の事の様に話す。

この人は…、一体何を考えているのだろう。

開いた口がふさがらない。

そんな私を見かねてか、手を取ると、そっと耳元で囁く。

「終電、ないんだろ?家、来る?」

冗談交じりで、フッと笑う塩沢さんが余裕に見えて腹が立つ。

「な、なに言ってるんですか!行きません。帰ります!」

信じられない。

塩沢さんを残し、足早に会社をでた。

あんなことする彼も信じられないけど、それを完全に拒否出来なかった自分も信じられなかった。

しばらく歩いていると、止まったタクシーの中から塩沢さんが現れた。

「乗ってけ。」

強引にタクシーに乗せられると、私を家の前まで送ってくれて、そのままそのタクシーに乗って帰っていった。

本当に何なの。

最後にあんな風に優しくされたら、嫌いになれない。

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