
エスキス アムール
第11章 デート
「……はるかちゃん、お腹すいてる?」
「え…あ、はい…。」
時間はお昼の12時近くを指していた。
美術展は17時までやっている。
大野さんは、
どこかに入ろうと言って、
歩き始めた。
その横について、歩く。
彼の綺麗な横顔を、
そっと盗み見た。
ああ、好きだな。
公園を、こんな明るい時間から二人だけで歩く。
こんな奇跡があるのだと、
涙が出そうだった。
「はるかちゃん、何食べたい?」
「え…私…は、…なんでも…」
朝は緊張して、ご飯が喉を通らなかった。
だから、
お腹は空いているはずなのに、
今も緊張で食べられる気がしない。
大野さんといることが
いっぱいいっぱいで、
食べたいモノのことなど
考えられなかった。
「うーん、…」
大野さんはひとしきり考えると、
「俺、コーヒー飲みたいから、
そこのカフェでもいいかな」
それに私は頷くと、
大野さんは、
なんとも優しい顔で笑った。
